2022年11月6日日曜日

LoLはチームゲームである

2022年WorldsはDRXが優勝した

と開催前に言ったところで信じる人間は誰もいないだろう。DRXファンでさえ、ベスト4に進出できればいい、ぐらいのマインドだったと思う。

DRXは決して相手を圧倒して勝つチームではなかった。LCK相手以外でさえ、レーン戦段階から打ち砕かれて負けるような試合もあった。

選手一人一人を見ても、最高クラスの選手が5人集まったわけではなかった。Kingenは万年有望株から抜け出せず、Pyiosikは常にサイコロを振り、Zekaは悪くはないがこれといった長所がなく、DeftとBeryLは加齢の伴う衰えが見え始めていた。

コーチ陣も、シーズン当初に監督を務めていたKIMを放出し、Ssongを急いで代理監督に立てたほどバタバタしていた。Mowgliも引退したばかりでコーチとしては新米だった。

しかし、LoLはチームゲームだった。自分たちの強みと弱みをはっきり理解し、トップとミッドに序盤にやや難があるがスケールのある強力なピック(エイトロックス、オーン、サイラス、アカリ、アジール)を取り、ボットはレーンフェイズをスキップするようなADCとBeryLの広大なプールを活かすサポートを好んで取った。ジャングラーは攻撃的にというより、レーンで崩されないような動きが大きく目立った。そして中盤以降自分たちは集団戦で勝つよという風に粘り強く戦った。

Gen.GもT1も選手個人個人で見れば明らかにDRXより優れていた。しかし2チームともチームとしてはDRXに劣っていた。特にレーンで勝つ前提で組まれた過去のLCK特有の傲慢なB/Pを繰り返したT1はDRXと非常に対照的に映った。楽観的な期待は毒にしかならないことを改めて教えてくれた。

わざわざなんでこのような記事を書いたというと、今回のDRXの優勝はLCKのみらなず他の地域のチームにも希望を与えたと思うからだ。はっきり言って全レーン戦でLCKに適うチームは無いといっていい。どこかしらで必ず穴が空いてしまうだろう。しかし、きちんとメタを解析し、自分たちの強みと弱みを理解し、その上でどうすれば自分たちがどのようにプレイすれば勝てるのか、希望的観測(フィジカルがいいから必ず勝つ(GEN,T1)、メタ外の組み合わせでも自分たちは勝てる(TES)、このチャンプをとればきっと役割を遂行してくれるだろう(C9を始めとするNAチーム))ではなく信用があり勝利の期待値が最も高い動きは何か、ということを導き出せれば世界大会でさえ優勝できるということをDRXは証明した。強いものが勝つのではなく勝ったものが強いのだ。

今年の大会を見て、来年以降各チームがどのようになっていくのかとても楽しみである。